戦うことに意味があるのかなんてレオンはさほど考えた事はなかった。
警官を目指していたころの志なんかはさておき、
それが必要なことになってしまっていたし、明確な目的はいつも見えていた。
漠然とした使命感はあったが、自分のこの手が世界を守る、なんてことも、特に意識したことはない。
自分が正しいと思う事、誤った道、その手段、そういうものはいつもそれなりにはっきりとした形をしていた。
クリスは思い悩んでいた。自分のしたこと、失った仲間たち、必要な犠牲、救えなかったもの。
手酷い裏切りから始まったこの道は、仲間と妹とロックを愛する明朗な若者をこんなにも変えてしまった。
みんな気づかないのか?
強い正義感、強靭な体躯、優秀な戦闘能力。その内側で出口のない闇に押しつぶされそうになっているただの男に。
眉間に皺をよせて、浅い呼吸を繰り返すクリスの頭を抱く。そうして数十分後にやっと安らかな寝息が聞こえる。
俺にはその気持ちが解る、俺も同じだ。そんな自分の陳腐な言葉にすがるクリスを、レオンは愛しいと思った。
誰にもみせない、その黒くて大きな傷口を、この時だけ、自分だけにクリスが曝け出す。
俺とあんたは同じじゃない。レオンは解っていた。奇妙な満足感とともに。
もう吊り橋効果でもいいので